オデッサ・ファイル
いつかは読もうと思ってた。フォーサイス『オデッサ・ファイル』を読んだ。
言うまでもなく、ウクライナ戦争を機にである。恥ずかしながら、このオデッサはウクライナのオデッサ(オデーサ)ではない。このことを読むまでは知らなかった。あの戦艦ポチョムキン、オデッサの階段のオデッサではない。Organisation Der Ehemaligen SS- Angehörigen の頭文字ODESSAなのだ。このODESSAはナチスのSS親衛隊の生き残りの敗戦後の逃亡のための秘密組織だ。SSは有名だが、とくにユダヤ人等の抹殺を主たる任務とした。
この本はドキュメントではなく小説だ。ミステリー小説スパイ小説としては、出色だと思った。ともかく面白かった。それなりの事実も込められてるんだと思う。この種の小説にはよくある細部へのこだわりもかなりのもので、とくに自動車の電装部品の叙述は細を穿つ。場面の展開は速く、厚みもある。映画もあるそうだが、書物のほうがずっと面白いだろうと思う。
舞台は、ラトビアのリガとハンブルクとミュンヘンなどのドイツの街である。